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中日事情あれこれ

中国人女性若者の美意識に対する金銭感覚


 万国共通かもしれませんが、20代~30代の若者たちは恐らく一番「美意識」にお金を使うでしょう。当面中国では「80後」(バーリンホウと呼ばれ、1980年以降生まれ、「一人っ子政策」実施にあたる最初の世代、昔の報道では家族内における「小皇帝」で甘やかされた世代として取り上げられた)が正にその主力軍です。

先月中国へ出張に行った時に友人から聞いた話ですが、友人の彼女(20代半ば)は美容院でパーマをかけて1500元(2万円)かかったそうです(日本でパーマをかけるよりも高いなと私はびっくりしました)。彼女の月給は恐らく8万円ぐらいだと思います。友人曰く、彼女の周りはほとんどそのような消費習慣ですから、その金銭感覚に既に慣れているとのことです。また、美容院以外に、毎月インターネット販売で日本の有名ブランドのミネラルウォーターや健康食品(肌に効果があるようです)に1000元(1万3千円ぐらい)以上かかるそうです。

 私の知る限りでは、友人の彼女はかなり向上心や独立精神のある女性で、両親や彼に買ってもらうような行動をとらないタイプのようです。自腹で月給の1/3を「健康」・「美意識」に使っています。その消費額を遥かに超えている若者女性の数は想像できないほどいるでしょう。

 一方では、中国の美容院側もそれを狙って、どんどん「美意識」をめぐり新しいビジネスモデルを出しています。今中国で一番定番とされている美容院のやり方は「前金制」の会員参加タイプです。まずは数千元の前金を支払うことにより会員になり、半額料金でパーマやスパのサービスを受けることができます。その中で、一部悪質業者は開業まもなくオーナーが前金を持ち逃げた報道を聞いたこともあります。 当然のことながら、「前金金額」で美容院のランキングも決められるように見えます。中間レベルの美容院は2000元~3000元(26000円~39000円)で、ハイレベルの美容院は5000元~10000元(65000円~130000円)だそうです。女性たちもある意味では会員証のレベルで自分の面子を守ろうとしているようです。友人の彼女が参加しているのは確か5000元(65000円)の会員だそうです。そのパーマ料金もなんと通常料金の半額になったそうです。

 「美意識」のほかに「健康」にもお金を惜しまないようです。正規代理権を持っているかどうかわかりませんが、最近インターネットで日本化粧品・日本健康食品と名乗って販売している業者は儲かっているようです。「資生堂」、「カネボウ」、「ファンケル」等本物かもしれませんが、女性にはものすごい人気があるようです。私の想像ですが、その販売サイトは決して日本メーカの専門サイトではないと思います。

 このマーケットを狙っている日本企業は多々あると思います。但し、化粧品にしても健康食品にしても正規進入するには中国政府(SFDA)の許認可が必要で、その許認可だけでも半年~1年半ぐらいかかる場合があります。 また、中国政府側もこのマーケットに着手し始めたようです。最近(2010年8月末)中国では規定が変わり、今まで50ドルを免税限度額とし大目に見てくれた輸入貨物に対し、50元(650円)以上の価値を有するものに対し一律関税と増値税(付加価値税、日本の消費税に該当しますが、税率は17%です)が義務づけられます。この規定により、海外輸入品のインターネット販売の場合、価格提示や納期に影響が出てきます。これで確実に海外輸入品の価格が大幅に上昇し、中国国内メーカにはチャンスが与えられるのではないでしょうか。

 今の「80後」に継いで、「90後」(ジョウリンホウ、1990年以降生まれ)の若者も続々とこのマーケットに入りつつあります。どんどん盛り上がってくるこのマーケットに参加する前に、不正業者との戦いを含め、色々と作戦を練っていかなければなりませんね。

  (2010年10月 株式会社ソフテック 楊)

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