中日事情あれこれ
友達の友達は皆友達！？
去年9月に帝国データバンクネットコミュニケーション岡崎社長様と中国へ出張した時のことでした。上海に着いた翌日、上海周辺の昆山*で友人Yさんに工業団地を案内していただき、ある外資系企業の副社長Zさんとお会いし一緒に食事をしました。
お昼ですが、杯を交わしながら円卓の上で情報交換ができました。私はYさんと長年の友達ですが、Zさんとは初対面です。その日私と岡崎社長はいろいろな情報を教えていただき、Zさんに親切にしていただきました。Zさんの言葉「中国人は、友達の友達もみんな友達です！Yさんの友達は私の友達です！」が耳から離れませんでした。
華僑が全世界でビジネスをし、成功している一因はこのような考え方（文化）に基づいているのだろうなとふと思いました。彼らは人的ネットワーク形成が得意で、こうしたネットワークを巧みに利用し、世界のあちこちで、現在の地位を築くことができたのでしょう。
余談ですが、この「友達の友達はみな友達」をめぐり、これまで人から聞いたことや自らの体験を以下に書きますので、皆さんで考えてみてくださいね。 *注…昆山：上海から40キロぐらい離れている江蘇省の県レベル都市です。全国県レベル都市ではGDPがトップを占めています。精密機械・太陽光発電・電子部品等工業が盛んで、台湾系企業や日系企業が多く集まっています。
事例１
知人（日本人）が、留学時代に中国の大学の先生と仲良くなり、日本帰国後、中国へ出張に行く機会に恵まれました。そして、その先生と久しぶりに会って、食事をすることになりました。先生と奥様と自分の3人で食事だと思った知人は約束の場所に行ってびっくりです。そこには見ず知らずの６－７人の中国人が既にテーブルに着いていたからです。鮑などの高級食材を使った料理が次々に運ばれ、皆は料理を堪能しました。最後会計となった時に、一人の身なりの良い中年男性が支払いを済ませてくれた*ので、心配になった知人は先生に「私はあの人と面識がありません。ご馳走になっても良いのでしょうか。」と尋ねました。すると先生は、「私たちもあの方と直接面識はないのですが、友達の友達なので遠慮しなくていいですよ。」と至極当然という感じで答えたそうです。知人は、「もう二度とあの人（ご馳走してくれた人）と会うことはないでしょうね。それにしても、見ず知らずの自分にあんな高いお料理をご馳走してくれるなんて太っ腹な人だわ。」と笑いながらこの話をしてくれました。
*注…中国の若者の間では「AA制」と言って、割り勘をすることもあるようですが、一般的には一人の人が皆にご馳走をするということが多いようです。事例2
まだ中国に駐在して間もない知人（日本人）が、中国の友人Aとの会食のアレンジをしました。場所は日本食レストラン、4名でお料理や座席も決めてあとは会食当日を迎えるだけとなりました。会場に早めに到着した知人はびっくりしました。中国の友人Aが出席する予定でない2名の見ず知らずの友人を連れてきたからです。それからお店の人に頼み込んで、席を換えてもらったり、お料理を追加したりと大変だったと知人は言いました。私は、まだ中国のことがよくわからないこの知人から「中国の人は突然友人を連れてくるものなの？」と尋ねられました。私の場合は、中国の人は友人を連れてくることが多いので（そのお陰で、知り合いが増えるというメリットがある）、最初から中華レストランの円卓で椅子を追加すれば、多少の人数の融通が利くお店を選んでいること、日本食レストランを利用する際は、座席や料理を増やすことが難しいので、友人を連れてくる場合は、事前に連絡して欲しい旨、中国人の友人に伝えていることなどを知人にアドバイスしてあげました。
事例3
Mが中国に留学した際に、中国人の女の子（友人B）と仲良くなり、CDやVCDの貸し借りをするようになりました。日本のドラマのVCDを友人Bに貸してから1ヶ月程経った頃、友人Cからそのドラマを貸して欲しいと言われたので、友人Bに「見終わったら、今度持ってきて欲しいのだけど」と伝えたところ、「そのVCDは今、誰が持っているのかわからないの（友人Bの友達に貸したが、その友達が更に他の友達に貸したらしい）。探してみるね。ごめんね。」と友人Bから電話がかかってきました。その電話から1ヶ月後、友人Bに貸したVCDは無事戻り、友人Cに貸すことができました。後日、友人Bが嬉しそうに新しいVCDを貸してあげるとMのところにやってきました。Mは念のため彼女に聞いてみました。「このVCDは誰の？」彼女は「私の友達のだから遠慮しないで！」と言いました。こんな感じでMのVCDも色々な人のところを渡り歩いたのだろうなと思ったのでした。
（2010年5月 株式会社ソフテック 楊） » メインページに戻る